
絶対に許せないこと
数ヶ月ごとに思い出しては頭がカーッと熱くなる出来事があります。整理するために吐き出します。
会社員だったときのこと。私の上司が同僚のAさんの携帯に電話を入れました。なんの要件でAさんに電話したのか定かではないですが、なにか仕事のことだったのでしょう。しかしAさんは上司からの電話をとらなかったようでした。そのときAさんは私の上司と仲がよくない状態でもありました。
すると上司は側にいた私に、「小泉、ちょっとAさんに電話して」と言ってきたのです。
私がAさんと仲良くしていることを知った上で、自分ではない人間からの着信ならAさんは電話に出るのではないか、つまり、自分を避けているかどうかを、部下の私をダシにして確認しようとしたのです。
今思えば、「そんなの嫌ですよ」の一言で済む話でした。しかし会社の縦社会に屈していた自分は、それをのんでしまいました。
もしここでAさんが電話に出てしまったら、Aさんと上司はさらに関係が悪化するかもしれない。「なんで俺のときは電話に出なかったんだ」と、上司から問い詰められてしまうかもしれない。
Aさんお願い、電話に出ないで……!
後に聞いた話では、聡明なAさんは上司からの着信の後にすぐ私から電話が入ったことを訝しみ、無視したと言っていました。
あのとき私の電話を持つ手は汗でヌルヌルでした。顔も引きつっていました。嘘の番号をかけたかったのに、上司は意地悪く私の一挙手一投足を見ていました。そんな私の緊張と恐怖を理解せず、平然とした態度でほかの同僚と世間話をしていたことも忘れないです。
デスクの配置によって序列が分かる「島」。肩書でできることが変わること。メールの宛名の順番もそれに左右されること。個人を大切にする優しさは邪険にされ、指示を的確にこなす鈍感さが評価されること。
「会社」で学んだ覇権主義をスポンジのように吸い込み、順応し、その看板なしに生きられなかった自分に失望しました。上司への怒りは、そのままそっくり自分への怒りと後悔です。
まじで一生さようなら、権力社会。